調理師の給料はどのくらい?調理師は、料理にかかわる分野のプロフェッショナルです。しかし、職種や勤務先の状況によって給料は大きく異なり、年収は200~1,000万円台までかなり幅があります。また、実際に調理師として仕事をすることになると必ず見習い期間や下積み期間があります。
調理師として働き始めてすぐに調理を任されて高収入を得ることは難しく、見習い期間中は初任給10万円台からと考えておいたほうがいいでしょう。
調理師の給料・平均年収とは?
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、10人以上の企業規模を対象にした調理師の平均年収は、2019年では約341万円でした。
この金額は、日本の他の職種の平均年収と比べても低いといえます。ただ、平均年収はあくまで調査した企業の中での平均値にすぎません。実際には条件によって違いが出ます。
以下で、さらに細かく企業規模別、男女別、年齢別にそれぞれ詳しく紹介します。
【規模別】調理師の給料・平均年収とは?
企業規模10人以上を対象にした賃金構造基本統計調査では、調理師の2019年のきまって支給される現金給与額の平均は252,600円でした。この金額の12カ月分に「年間賞与その他特別給与額」の382,200円を足すと年収は約341万円になります。
同様にさらに細かく年収を規模別でみると、10~99人規模では約339万円、100~999人規模では約328万円、1,000人以上では約366万円です。必ずしも規模が大きくなると年収が上がるわけではありませんでした。2019年は100~999人規模の企業で平均年収が下がる傾向がみられました。
【男女別】調理師の給料・平均年収とは?
2019年の賃金構造基本統計調査の男女別では、男性調理師のきまって支給される現金給与額平均は287,900円です。12カ月分の給料に年間賞与その他特別給与額の382,100円を足すと年収は約383万円になります。
一方で、女性調理師のきまって支給される現金給与額平均は204,500円で、年間賞与その他特別給与額の382.300円を足しても年収は283万円程度と、男性よりもかなり少ない結果です。また、調理師見習でも男性の年収が約313万円に対して、女性は約232万円と低くなっています。
【年齢別】調理師の給料・平均年収とは?
年齢別の平均年収は男性調理師の場合、10代で約247万円、20代は前半で301万円、後半で335万円程度と徐々に高くなります。さらに30代になると技量も上がり、責任ある仕事も任されるようになるケースが多く、前半は約377万円、後半は約393万円とさらに上昇傾向です。
40代になると、現場を統括する立場に就くことや後輩の育成に携わることもあり、前半は約413万円、後半で約435万円になります。50代でも前半は約458万円とゆるやかに上昇を続けますが、50代後半に入ると約415万円、60代前半が353万円、後半が303万円程度に下がっていく傾向です。
女性調理師の平均年収も10代は約227万円、20代は前半で約272万円、後半は約284万円と少しずつ上がります。ただ、30代になっても前半が約293万円、後半は約294万円で、男性ほど急激には上昇しません。
40代でも前半は310万円と、上昇する傾向はあるものの大きくは上がらない点が男性とは異なります。40代後半になると298万円、50代の前半が約297万円、後半が約278万円、60代前半が258万円、後半が239万円と男性と同様に下がります。
調理師の仕事内容とは?
調理師の仕事は、飲食店やホテルなどのほか、病院・学校給食など、さまざまな職場で料理を作ることです。また、飲食店といっても、格式の高い料亭からフレンチ・イタリアン・中華などのレストラン、気軽に入れるラーメン店まで多彩なジャンルがあります。
料理を提供するためには、あらかじめ材料を切っておいたり、スープを煮込んでおいたりなど、事前の仕込み作業も必要です。繊細な味付けを必要とするもの以外、仕込みの作業は見習いが担当することも多く、深夜や早朝に行うことも珍しくありません。
営業時間になれば調理や盛り付けを担当するほか、洗い物や片付け、職場によっては接客も求められることがあります。また、食材の発注や品質管理、店内の衛生管理も大切な仕事です。閉店後は店内を清掃するほか、新メニューを考えることもあります。
調理師の中でも給料が高い職場は?
街のレストランなど個人経営の飲食店勤務の場合、売り上げが上がらなければ給料にも影響し、ボーナスがないことも珍しくありません。チェーン店や学校・病院給食などへの勤務では、福利厚生が整備されていたり最低限の固定給が決められている場合が多くあります。しかし、手取り額としては多いとはいえないケースもあります。
ホテルのレストラン勤務は比較的給料が高く、ボーナスが支給されることも多いなど、待遇がいい傾向にあります。
調理師の給料を増やすための方法とは?
調理師として働くうえで、給料を増やすためにはいくつかの方法があります。ここでは、給料を増やすポイントを5つの方法を説明します。
スキルアップして昇給する
調理師は技術を必要とする仕事です。そのため、スキルを磨くことで昇給も望めます。例えば、一つのジャンルを極めて誰にも負けないスキルを身につけたり、有名店で修業して経験を積み重ねたりすることも昇給につながります。すでに働いている店でも、努力して腕が上がったと認められれば、昇給の可能性が高まるでしょう。
給料を上げてもらえるよう交渉する
勤務先でのキャリアが長ければ、昇給の交渉することもできるようになります。その際は、アピールすることができる実績が必要です。例えば、お客様の好評を得て売り上げに貢献している人気メニューの考案をしてきたなどの実績、交渉の材料になります。
もし、目に見える実績が少なかったとしても、ある程度のスキルアップを果たしていれば、そのスキルを土台に今後の努力や目標をアピールすることもできます。
条件のいいところへ転職する
ある程度の経験があって、スキルにも自信があるのなら、いい条件の職場へ転職するのも一つの手です。実力を認めてもらえない場合や、職場の経済的な状況で昇給が望めない場合は、その職場にとどまって努力しても給料は上がらない可能性もあります。それならば、実力に見合う給料を提示してくれるところへの転職も選択肢の一つになるでしょう。
独立して自分の店を持つ
独立して自分の店を持つことも、給料アップの可能性があります。経営が軌道に乗り、店が繁盛すれば、当然収入も上がります。自分のスキルを活かし、頑張った分だけ収入が増え、基本的には上限もないといえます。ただし、独立・開業するためには資金や経営能力も必要になります。繁盛しなければ逆に収入がなくなったり負債を抱えるリスクがあることを考慮に入れる必要があります。
調理師免許を取る
レストランやホテルなど飲食業界で働く際、必ずしも調理師免許を必要とするわけではありません。しかし、調理師免許を所持していることで手当が支給される職場も多く、免許の有無で給料に差がでる場合があります。
また、民間の調理担当の求人では応募条件に調理師の有資格者を指定しているケースも多くあります。そのため、いい条件の求人があっても、資格を持っていなければ応募すらできないこともあり得ます。給料アップや、転職先の選択の幅を広げるためには、調理師の資格が有利に働くともいえます。