調理師の仕事内容や職場、やりがいなど

調理師試験を受けたいと思っている方に、まずは調理師についてしっかり知っていただき、試験を受けるためのモチベーションを持ちましょう。
おいしい食事を作り人に喜んでもらうにはコツコツと調理の技術を磨く期間が必要です。調理師でなくても調理できます。でも、調理師の名称は調理師でないと使うことが出来ない名称独占です。きっと試験に受かり、調理師になる良さがあるのでしょう。
調理師になる? 調理師免許を持った方はどのような仕事につき、どのような役割を担うのかなど、しっかり理解いただけるように説明します。

調理師の仕事内容!1日の流れで確認

調理師でなくても以下の仕事は行えますが、調理に携わる方の多くは調理師の資格を保有しています。
調理師の仕事内容を1日の流れと合わせて見ていきます 。
調理や盛り付け以外のさまざまな仕事をご紹介するので、どんな仕事をしているのか要チェックです。

食材の仕入れ

料理をするためには、食材が必要です。
そのため、調理師の仕事は食材の仕入れからとなります。
普段から利用している業者に電話やメールなどで発注したり、市場にその日に必要な食材を買いに行ったりするなど、仕入れの方法はさまざまです。
発注していた食材を受け取るのも、1日の仕事に含まれます。受け取った食材の質や個数を確認し、正しい場所に保管するのも大切な作業です。

食材の仕込み

すばやく調理できるように、食材を仕込んでいきます。
野菜をメニューに合わせて細かく切ったり、肉や野菜に下味を付けたり、お米を炊いたりするのが主な仕込みです。
その日のメニューや注文によって必要な食材が変わるので、職場や日にちごとに仕込みの内容は異なります。
正確に下準備をすれば、営業中にスムーズに料理を提供できるでしょう。

調理・盛り付け

飲食店やホテルのレストランなどの営業時間になったら、注文に合わせて調理を行います。
オーダーをもらって料理したり、ビュッフェメニューを作ったりするなど、調理の内容は職場によってさまざまです。
病院や学校であれば、栄養面を考えて作られたその日のメニューを必要な分調理することになります。
調理だけでなく、盛り付けも調理師の仕事です。見るだけで食欲が湧いたり、思わず写真を撮りたくなったりするような、スキルやセンスが求められます。

後片付け・調理器具のメンテナンス

営業時間が終わったら、後片付けが始まります。
テーブルを拭いたり、皿を洗ったりする仕事を分担して行うのが基本です。
次の日も気持ちよく営業できるように、食器や店内を整えます。
調理器具のメンテナンスも営業後の仕事です。包丁を研いだり、鍋を磨いたりするなど、大切な商売道具を万全の状態にすることによって、モチベーションや料理の質が変わってきます。

店舗の衛生管理

安全に食事を楽しんでもらうためには、店舗の衛生管理が欠かせません。
衛生面が整っていないと、料理を楽しめないことはもちろん、食べた人の体調に影響を与える可能性もあります。
後片付けと一緒にテーブルや椅子、机上の調味料などを消毒したり、食材の状態をチェックしたりするのが主な衛生管理です。
また、身だしなみも衛生面への配慮につながります。
制服をキレイに洗う、清潔な髪型にするなど、小さなところから気を付けることで、気持ちよく料理を提供できるのです。

食材の発注・管理

最後に行うのは、食材の発注や管理です。
冷蔵庫にある食材の量をチェックし、足りない食材を追加発注します。
余っている食材の使い方を確認するのも、翌日に向けた大切な準備です。
開店前の仕込みでは間に合わない作業も、閉店後に行います。
時間のかかる味付けやだしの抽出などは、前の日から行い、翌日の営業で使える状態にするのがポイントです。

調理師が活躍できる主な仕事場

調理師は、さまざまな場所で活躍しています。
飲食店やホテルなど身近な場所以外にも、さまざまな仕事場があるので、どこで活躍したいかイメージしながら、主な職場を見ていきましょう。

飲食店

レストランやカフェ、居酒屋などの飲食店の厨房・キッチンで調理師が活躍しています。
お客様のオーダーに合わせて調理をするのが主な仕事です。
飲食店の規模によっては、テーブルへの提供を行う場合もあります。

宿泊施設

ホテルのレストラン、温泉宿の食事処などでも、調理師が働いています。
ビュッフェメニューを準備・補充したり、レストランで料理を提供したりするなど、ホテルや温泉宿のどこで調理を行うかで仕事が変わるのが特徴です。
宿泊施設内のレストランで働く場合は、レストランのジャンルによって、和食やイタリアン、フレンチ、鉄板焼きなど料理の種類が変わります。

学校・病院・福祉施設

学校での給食、病院食、福祉施設の食事にも、調理師が関わっています。
栄養士の作った献立に合わせて調理を行い、児童や患者さん、利用者さんの食事を準備するのが仕事です。
子どもの身体作りや患者さん・利用者さんの栄養管理などに食事を通して関われるのは、やりがい・魅力と言えるでしょう。

料理教室

料理の知識やスキルを生かして、料理教室で活躍する調理師もいます。
クッキングスタジオや料理教室に勤め、学びにきている生徒に料理を教えるのが仕事です。
お手本として調理をする場面もありますが、テーブルを回り、コミュニケーションを取りながら教える場面の方が多くなります。
料理の楽しさを伝えたい、料理を好きになってもらいたいという人におすすめの職場です。

専門学校の講師

調理師を目指す専門学校の講師として、生徒に指導する働き方もあります。
料理教室では主婦や女性など日常生活での料理を教えるのがメインですが、専門学校では料理人やパティシエなどを目指す生徒を教えるのが両者の違いです。
さまざまな場所で活躍する調理師を育てたいという思いがある人には、講師としての働き方が向いているでしょう。

調理師の仕事のやりがいと苦労

調理師の仕事には、やりがいはもちろん、大変なこともあります。
どちらもしっかり理解した上で、調理師を目指すか考えてみましょう。

やりがい

調理師のやりがいは、何と言っても自分の料理で人を笑顔にできることです。
子どもから大人まで、料理の味や見た目だけで幸せな気持ちになってもらえます。
「今まで食べたなかで一番美味しかった」「また食べにきたい」などの言葉で、やりがいを感じられるでしょう。

また、さまざまな場所で活躍できるのも調理師のやりがいであり、魅力です。
飲食店やホテルなどの身近な場所だけでなく、学校や病院などで重要な役目を果たすことができます。
料理を提供する立場から離れて、調理師を目指す人や料理が苦手な人をサポートできるのも、調理師だからこそできる仕事です。

大変なこと

調理師として働く上で大変なことは、体力が必要なことです。
厨房やキッチンでは立ちっぱなしになり、ピークの時間は座る余裕がありません。

営業時間以外でもやることが多く、仕込みのために早出したり、翌日の準備のために残業したりすることもあります。
仕入れた食材を運んだり、大きな鍋を移動させたりする場面もあり、ある程度力も必要です。

また、見習いのうちは厳しい指導を受ける場合が多く、人間関係で悩む人もいます。
一人前になれるように指導してくれているので、感謝しつつ忍耐強く着実に取り組む姿勢が必要です。

調理師の仕事に向いている人

調理師をはじめとして、どのような仕事にも向き不向きがあります。
向いていないから諦めるべきではありませんが、向いていた方が調理師を目指しやすいでしょう。
ここでは、調理師の仕事に向いている人の特徴を5つご紹介します。

料理が好きな人

調理師の適性として、一番大切なことは料理が好きなことです。
料理をすることや食べることが好きな人は、料理への愛情を込めて仕事に取り組めるでしょう。
大好きな料理をもっと極めたい、自分の料理をもっと色んな人に食べてもらいたいなど向上心も持ちやすく、調理師として努力を続けられるはずです。

料理や食への探求心・向上心がある人

料理や食は、美味しいものや人気のあるもの、求められるものが日々変わっていきます。
それらに対応するためには、探求心や向上心が欠かせません。
新しい食材の組み合わせや味付けを研究したり、美味しいと言われるものを食べに行ったりするなど、食を追求することがスキルアップやアイデアにつながっていきます。

味覚や美的センスに優れている人

新しい味付けや映える盛り付けをするためには、味覚や美的センスが求められます。
それらが優れている人は、調理師としての適性があるでしょう。
微妙な味の変化を感じたり、色や形のアイデアを持っていたりすると、より魅力的な料理を作れるはずです。
味覚やセンスはたくさんの料理を食べたり見たりすることで身についていくので、努力次第で磨くことができます。

対応力がある人

調理師には、対応力も求められます。
混雑状況に合わせて調理の優先順位を決めたり、食材の在庫を見てその日のメニューを考えたりするなど、臨機応変さが大切です。
調理以外の場面でも、上司や先輩の指示に柔軟に対応する、お客さんや利用者さんからの要望に応えるなどの対応力も必要になります。

忍耐強い人

調理師になってすぐに調理や盛り付けを任せられるのではなく、見習いの時期があります。
雑用から始まり、仕込み、盛り付け、調理といったようにステップが進んでいくので、焦らず着実に取り組む姿勢が大切です。

時には、厳しい指導を受けることもありますが、めげずに忍耐強く努力を続けられる人であれば乗り越えられるでしょう。

調理師という仕事をするためには

調理師になるには、いくつかの方法があり、キャリアも人によってさまざまです。
調理師になる方法やキャリアイメージを参考に、調理師として活躍するイメージをしてみましょう。

調理師資格を取得し就職する

料理の仕事は必ずしも資格は必要ありませんが、調理師と名乗るためには調理師免許が必要です。
調理師免許を取得するためには、調理師試験に合格する必要があります。
調理師試験には受験資格があり、以下の条件を満たしていなくてはいけません。

学歴中学校卒業以上
職歴調理業務(飲食店営業、魚介類販売業、そうざい製造業、複合型そうざい製造業、寄宿舎・学校・病院等の給食施設)に2年以上従事していること
※パート・アルバイトは週4日以上かつ1日6時間以上の実働勤務が原則

上記の条件を満たし、試験に合格したのちに、都道府県で免許申請を行うと取得できます。
また、厚生労働大臣指定の調理師養成施設を卒業すれば、実務経験がなくても試験なしで調理師免許を申請できます。

免許を取得した後は、ホテルのレストランや飲食店などの求人に応募し、調理師として就職するのが一般的です。

調理師のキャリアイメージ

調理のキャリアには、さまざまな形があります。
ホテルや飲食店などに勤めて、厨房スタッフからマネージャー、店長、総料理長などを目指すのが一つ目の例です。
調理だけでなく、お店全体をまとめたり、料理の方向性を決めたりするなど、運営に関わる仕事に関わることができます。

二つ目の例は、飲食店などで勤めた後に、自分の店や教室を開業する道です。
スキルや経験を生かして自分の店で料理を振る舞い、繁盛すれば収入アップも期待できます。
有名店や人気店になると、一躍注目の料理人として世に知られることもあるでしょう。

三つ目の例は、調理師の経験から料理教室や学校の講師になるルートです。
料理のスキルや知識を生徒に伝えることができ、将来の調理師を育成したり、主婦の悩みを解決したりできます。
調理師としてどのような仕事がしたいかを考え、自分らしいキャリアをイメージし、実現を目指しましょう。

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